【吉田ブログ】AI時代の「ビジネスのための英語学習」について

私はもともと英語が好きということもあり、英語を学習すること自体、特に苦痛に感じません。昔から洋楽、洋画といった洋物(?)が好きだったというのもあり、おそらく向いているのだと思います。

社会人になってからも海外出張は可能な限り参加するようにしていましたし、そのための英語学習は続けていました。

とはいえ、海外留学や海外駐在までしたいかと言われるとそこまでではなく、基本的にはドメスティック、年に1回くらい1週間程度旅行・出張する、という海外との関わり方をしてきました。

そんな感じで「薄く長く」英語学習をしているのですが、ここ数年の学習環境の変化は非常に大きいと感じています。

いうまでもなく、ChatGPT等の生成AIの影響です。

ChatGPTが優れていることの一つとして、単に文章を生成するだけではなく、前後の文脈やニュアンスもかなり正確に織り込むことができるようになっている点があります。

和訳はもちろん英訳をする場合も、文脈やニュアンスを織り込んだうえで文章が生成されます。

お堅い文章だけでなく、詩的な表現やくだけた表現も、かなり正確に生成されていると思います。試しにJPOPの好きな歌詞をChatGPTに英訳してもらってみてください(逆に洋楽歌詞の和訳も)。

これが何を意味するかといえば、「和訳」「英訳」といった我々世代になじみのある学習方法はもはやゴールではない、ということになるでしょう(学習の一環として和訳・英訳するのはともかくとして)。

仕事で、以前は海外に送るメール文章やインストラクションの文章を一生懸命考えて書いていましたが、その作業自体ゴールではない、ということがいえます。AIがほぼ完全な英訳をしてくれるのですから。

さらにいうと、音声認識と組み合わせればリスニングもビジネス上はゴールではなくなるはずです。スピーキングも同様。実際すでにAIメインの英会話教室がいくつも登場しています。

日本語を読み書きできて、話すことができれば、どのような形であれほぼ正確に英語に変換することが技術的に可能となっているのです。

よってこれからの英語学習はどこに重点をおくべきか、どこにゴールを置くべきか、考える必要があると思います。

かつての受験英語のように文章を和訳・英訳して終わり、というわけにはいかないでしょう。与えられた文章を読み、それを要約した上で面接官と型通りの英会話ができればいい、というのもゴールではありません。それは限りなく瞬時にAIがやってしまうのですから。

読み書きはもはや「できて当たり前」とみなされるようになるのではないでしょうか。何しろ文章はすぐ生成できてしまうのですから。

個人的には、これまで以上にスピーキングが重要だと思っています。

いかに正確に、素早く自分の意思を伝えることができるか。紋切型ではない自分の表現で話せるか。

拙くとも、AI任せではなく自分の口から自分の言葉で話す、ということが大事になるのではないでしょうか。

スピーキングは、読み書きが相当できる人でも苦戦することが多いです。それは瞬時に自分で英語を生成しなければならないため。読み書きの時よりも非常に短いスピードで英文を生成し、かつそれを正しい発音で話す必要があるためです。

よって、普段の学習からスピーキングを意識した学習をする必要があると思っています。例えば英文があったとして、それを呼んで理解して終わり、ではなく、その和文を用意して、それをいかに素早く英訳しながら正しい発音で話せるか、といったアウトプット型の学習です。

我々世代の受験を経験した人たちはどうしても「和訳」して理解することがゴール、となってしまいますが、それでは足りないということになるでしょう。

そして今、YouTubeやPODCASTで良質な教材が多くあります。

私のおすすめは以下のThink Fast Talk Smartというコミュニケーションを題材とした対話型のPodcastです。各対話のスクリプトも用意されており、内容も面白いです。Think Fast, Talk Smart: The Podcast | Stanford Graduate School of Business

他には「ロックスターの英語」「ハリウッドスターの英語」といった対話(インタビュー)形式のものがお勧めです。日本語和訳部分をスクリプトに近い英語に瞬時に変換できる、ということをゴールに取り組むようにしています。

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